ネットワークビジネス・・・「MLM(マルチレベルマーケティング)」とも呼びます。
昔若いころ、仕事の関係でお誘いを受けて、やりはじめことがあります。
自分が服屋さんをしていたころ、売り上げが芳しくなくなってきたときに、「小遣い稼ぎと思ってやってもいいんだよ?」みたいな感じで誘われました。

結果は、どうしても理屈的におかしいところがあって、結局一人も勧誘できずに終わりました。(^^)

お若い方々には、こういったお誘いも少なからずあるかと思いますが、できれば軽々しくお受けせずに丁重にお断りしたほうが良いと思います。

ネットワークビジネスは利益の再分配の方法さえ間違わなければ、理屈的・構造的には可能であることはわかりますし、頑張っていらしゃるかたもいるので否定はしませんが、やはりかなり「特異」です。

特に日本では難しいビジネスモデルだと思います。(海外ではどうなのか知りませんが・・・)

商売としてみた場合、何より、「怪しくないんだよ?」ということから始めないといけないから、ものすごいエネルギーとお金、時間をロスします。
無理・無駄・ムラが最初からけっこう自分を襲ってくるといいますか・・・

そして何より、どうしても「人間性」を疑われますし、お金のことや自分の立場のことしか頭になくなると、普通の商売の10倍の速さで、簡単に信用を失い、お友達も家族も無くします。
それでも自分がよければいいといえばそうなのですが、お天道様はそういう自分勝手な考え方の人をそうそうは長くほうっておいてはくれません。
相当、謙虚にやらないと、ネットワークビジネスの場合、すぐにしっぺ返しを食らいます。

普通の商売なら、たとえばネットオークションや通販なら、パソコンがあっていい商品があれば、すぐに売れてしまいますから小遣い稼ぎならそちらのほうが早いです。

ネットワークビジネスがご商売として致命的なのは、自分の下についたひとで一人こまったちゃんが居ると、その人を教育するのが本当に大変だということだと思います。
商売のこともわからない、社会人としての礼儀もまったく何もわからない人が直下ではなく数段下くらいに大勢発生するので、本当に教育が大変だと思います。
儲かるよと言ってしまうとそれだけで危なくなってしまいますし・・・
下に「儲けたいばっかりの人」がつくと、ある日突然ごそっと別の会社に移ってしまいますし。 (それを「膿出し」として「良かった!」「いい兆し!」と捉えられればいいのですが。)

さらに致命的なのは、自分が商品開発するのではないので、売っているものが「本物かどうか」を確認できない点です。これもすごくあとになって痛い目を見ます。「上が言っているから大丈夫だろう」という姿勢だと、本当に何が起こるかわかりません。
類似品が安価に出てきた時も相当痛手をこうむります。
それが同業他社であっても、普通の会社であっても、安価に出てこられたら自分達がが高品質でもそう信じてはもらえません。(最近は特に高品質、低品質の差が縮まってきてもいるというか、一定品質以上だと、高品質な品物か低品質な品物かが区別がつきにくくなってきていますので・・・)

成功するには本当に、普通の商売以上に「人間性の良い人をいかにあつめるか」がポイントになると思いますが、そんな人材が集まることはまずありません。
「人間性の良い人をたくさんあつめる」という状態に近い状態にもっていくだけでも死ぬほど大変で、本当に相当な苦労を強いられると思います。(10年、20年スパンで見た場合。)
やり始めで「下もいい人ばっかりでよかった」なんてことになっても一時だけと思ったほうがいいです。

ネットワークビジネスは仕組み的にコミュニティ販売というか、社内販売みたいな感じがあるので、全員が牧歌的で、善人で、思いやりがあり、そして、「類似品が一切出なく」、心から商品を愛する人たちの集まりなら、確かに、永く、うまくいくとは思います。

でも現実には、類似品はたくさん出ますし、自分のすぐ下に「お金のことしか頭にない人」がどうしても入ってくるので、そういう平和なコミュニティをすぐに破壊されてしまいます。
自分のネットワークコミュニティを破壊しにくる「お金のことしか頭にない人」は意図的にしろ無意識にしろ、世の中には大勢いて、だからネットワークビジネスはなかなか成功できません。

まじめに取り組もうと思ったら、10年以上かけるつもりで、上や本部に逆らってでも、「俺の下は俺が絶対に守る!お金だけの組織には絶対にしない!」という信念をもって、ゆっくり、ゆっくり、時間をかけて取り組まないといけないと思います。(実際にそうやってる人に出会ったこともあります。エライなと思いました。)
もちろん、商品開発部署がすぐに見れるようなもので、類似品が出ないものを選んで・・・。
でないと、必ず「砂上の楼閣を築くだけ」に終わってしまうと思います。

一部にすごく急ピッチで売り上げを伸ばす人もいると思いますが、そういう人は他のネットワークビジネスに移っていってしまうことも少なくありませんし、共感ではなくて恐怖で支配するタイプの人、あるいは、最初から大きな基盤を持っている人、が少なくありません。
そういう人と自分を比べ出したら終わりの商売だと思います。

というわけで、ネットワークビジネスについては、普通に商売するよりもリスクが高すぎるので、僕はおすすめしません。もちろん、今後も絶対にやることはありません。

僕は僕自身の生きがいをちゃんと見つけれていて、夢もあるし、少しずつですが実現しつつあるし、今死んでも全く後悔がないので、僕にはネットワークビジネスは必要ありません。

商売は、「自分の性格に合わないことをしても必ず破綻する」という自然界的なルールがあると思います。
僕自身、ネットワークビジネスについては、自分の性格にも合わなかったので、結局、なにもできませんでした。

「一人も勧誘できなかった奴が何言ってる?」と言われてしまうかもしれませんが、できないことはできません。

特に、自分が納得できてない、理論上おかしい、と思うことをやはり人には勧められません。

ネットワークビジネスを始めると、お金が第一、稼いだ額が正義、みたいになりがちなのも僕にはあっていませんでした。

色々勉強してみると、そういう姿勢で「永く続いた企業は歴史から見ても皆無」のようでしたので、やらなくてよかったと思っています。

若いころにはこれだけは分かりませんでした。こういうことは、時間をかけて、落ちていく人を見たり、実際に自分自身が落ちてみないとなかなかわかりません。

幸せ、を考えたとき、野球はまずは1点から!1アウトから!サッカーもバスケもまずは1点から!という姿勢で、コツコツ商売するのが一番よいと思いました。

ネットワークビジネスをしている方でも、紳士・淑女で、勧めてこない人とはおつきあいできるのですが・・・。